Monthly Archives: 8月 2014
兵庫高校「東京みらいフロンティアツアー」の一環で来所
8月4日、統計数理研究所では、国文学研究資料館、国立国語研究所、国立極地研究所との連携のもと、兵庫県立兵庫高校「平成26年度東京みらいフロンティアツアー」の一環により、同校の生徒38名、引率教諭3名、計41名の来所見学受け入れを実施しました。
当日は、猛暑のさなか、関西から東京への移動を経て到着した高校生をお迎えし、丸山宏副所長の司会進行のもと、次のようなプログラムが展開されました。
樋口所長からは、歓迎の挨拶及び「研究所の概要説明」があり、各先生方の講演を、これから進路を選ぶための参考にして欲しい、と励ましの言葉をいただきました。続いて、国立極地研究所 本吉副所長による「南極からみた地球の歴史」、統計数理研究所 野間助教による「統計が新しい医療を創る? 〜医薬品の開発,PM 2.5の大気汚染研究から先端医学研究まで〜」、国文学研究資料館 山下教授による「日本の古典の魅力」、国立国語研究所 石本特任助教による「円滑な会話の仕組み」と題した講演がそれぞれ行われました。また、講演終了後は、立川キャンパス各研究所の施設を見学し、生徒さんたちは熱心に説明を聞いていました。
今回のツアーを迎え入れるにあたり、本日の講演等が、生徒さんが進路を選ぶきっかけの一つになれば、という思いを込めてご案内した1日でした。本件に係る企画準備は、統数研の企画グループとURAが支援しました。
(統計数理研究所URA)

41名のみなさんを歓迎

左は樋口所長。

(スーパーコンピュータ)
データ中心科学に関する海外機関との意見交換

2014年7月17~18日に北米西海岸の2大学を訪問し、データ中心科学について意見交換をしてきました。訪問したのはUniversity of Washington(ワシントン州シアトル市)とUniversity of California, Berkeley(カリフォルニア州バークレイ市)で、いずれもデータ中心科学の研究を推進していることで世界的によく知られています。
UW、UCBおよびUniversity of New Yorkの3大学は、2013年にムーア財団、スローン財団からデータ中心科学を推進する機関(Data Science Environments)として選ばれ、$38.5M/5年のファンディングを受けて研究体制の整備とプロジェクトを進めています。今回の訪問でその実態を聞くとともに、キーパーソンと知り合いになることができました。
UWのこの分野の取組はかなり早く、すでに2005年ころから学内で議論を始めていたとのことです。2008年にeScience研究所を設立して学内の活動を本格化させ、さらに今回の財団からのファンディングをもとに活動を活発化させています。この秋にはData Science Studioという、関係者が集まって作業のできる環境を設立するとのことでした。UWでは、π型研究者の「π」は2本の足がドメインの研究と情報・統計数理の研究を指すと解釈しているそうです。
UCBでは今回の財団からのファンディングに応募するため、研究担当副学長を中心とするコアチームを結成、その中には2011年ノーベル物理学賞受賞者のSaul Perlmutterも入っていました。現在Berkeley Institute for Data Science (BIDS)という組織を立ち上げ中で、約40人が勤務できるスペースを持つオフィスがこの夏に正式オープンするそうです。BIDSに勤務する研究者の多くは本籍との兼務で、給与も半々とのことでした。
いずれの大学でも、いわゆるドメイン研究者と情報・統計数理の研究者とが緊密に協力して研究を進めている様子がわかりました。背景には、どの科学分野もdata richになりつつあり、新しい研究を行うにはデータ中心科学を進めることが必要との認識が共通になっていることがあります。ムーア財団、スローン財団にもこのような認識があり、今回のファンディングに結びついていると思われます。もちろん日本では米国ほど強力な私的財団がないのでファンディングに関しては同じ構図があてはめられるわけではありません。しかし当機構が推進しているデータ中心科学リサーチコモンズ事業は、世界的に重要と認識されている方向性に沿ったものですので、今後両大学をはじめ関係する海外研究機関との情報交換、連携を進めていきたいと思っています。
(丹羽邦彦)
2014年8月のリサーチコモンズWebSiteから

「細胞建築学」というちょっと耳慣れない名を冠しているのは、遺伝研の木村暁研究室。「スピリットはなるべく昔の人のまま、新しいツールを駆使して挑みたい」と、細胞生物学に新しい視点からアプローチします。中でも細胞質流動の研究で成果を挙げているデータ同化の手法は、他の生物系にも有効であることから「いわば布教活動のようなものにも取り組んでいます」とのこと。詳しくは、ぜひ記事をご覧ください。
■Research View 010
「建築」という視点で細胞を解明する。
[データ同化・シミュレーション支援技術] 木村暁(遺伝研・准教授)
■researchmapつながるコンテンツでは……
福井県にあるLake Suigetsuは、その湖底に、地球の地質学的年代を決める地層「年稿」を蔵する湖として、世界的にその名が知られています。2012年に続いて、4度目の掘削に取り組む立命館大学 古気候学研究センターの中川毅教授に、これから何がわかってくるのか? おききしました。
つながるコンテンツ | 可能性を照らす道 5
「水月湖から何を知ることができるか。」
立命館大学 中川毅 教授
(池谷瑠絵)
科研費申請支援活動

7月16日の教員連絡会議の場で、本位田副所長から、科研費の組織目標、本年度の科研費支援活動早期化の狙い、および支援活動へのURA参加の説明が行われました。引き続いて、笹山URAから、支援体制(コメンテータ、連携支援チーム、URAチーム)、各々の支援アクターの役割分担と連携、支援活動のスケジュール概要とURA支援内容について具体的な説明を行い、本年度の科研費支援&相談活動のスタートが切られました。
若手研究者を中心とした支援希望者とURAとの間で、どのような研究テーマ・種目にチャレンジし、希望する支援レベルと申請者本人が考えるスケジュールなどについて今後の調書作成方針策定のための第1回目の面談を行いました。科研費申請の締め切り期日まで、評価審査員の立場に立って、研究価値や内容の分かりやすい調書づくりの視点から、本格的な研究内容に関するアドバイスおよび調書作成支援活動を行います。
なお、支援活動が科研費の採択率や採択件数の向上につながるばかりでなく、研究者同士、あるいは研究者とURAとの間で、研究についての相互の相談や気軽にコミュニケーションがとれる研究所風土の醸成にもつながることを期待しています。
研究者への個別相談だけでなく、9月1日には、採択経験者からの科研費種目別書き方講座の講習会を開催します。今年度は、若手研究者に参考となる講座になるよう、講師の人選を工夫し、若手研究者がチャレンジすると考えられる種目の採択実績のある研究員に講師として登場してもらう予定です。(写真は面談の様子)
(NII研究戦略室)
論文出版助成
平成25年11月に情報・システム研究機構が研究大学強化促進事業に採択されて以降、国立極地研究所では、研究大学強化促進事業費による論文出版助成を行なっています。
助成は所内の教員または研究員を対象としており、論文の英文校正費、論文投稿費、別刷費に対して、原則一件あたり20万円を上限として支援しています。平成25年度は10件の申請、平成26年度は8月末現在で5件の申請がありました。今後も引き続き、申請を受け付ける予定です。
(礒野 靖子)