国立遺伝学研究所

インド Research Development Office訪問

RDOメンバー

インド出張報告第2弾として、NCBSのResearch Development Office(RDO)を紹介したいと思います。彼らはインドにおけるURAの先駆け的存在です。

現在チームは総勢7名。学位を持つ元研究者もいれば、社会貢献活動グループで働いていたというバックグラウウドをもつ人もいる多様なグループです。チームはFunding and Award ManagementとCommunications Officeの2グループから構成されています。前者はプレアワード、ポストアワードに加え、funding agencyへのプレゼンや報告も重要な業務だそうです。NCBSではfunding agencyからの研究費獲得が、研究所の安定的な経営に重要であると位置付けられており、財団関係者への接待やツアーの企画など業務は多岐にわたるのだそうです。

Communications Officeは要覧、ホームページ、news letter作成に加え、funding agencyや国への報告書作成などにも関わります。書類によっては英語だけでなく、ヒンディー語、南インド地方の共有語の3ヶ国語への翻訳を行ったり、デザインも重要だそうです。

インドと日本では事情が違いますが、研究支援業務のたいへんさや楽しさは同じなのだなと感じました。

私が女性研究者のキャリアに興味があると話すと、チームミーティングに招いてくれ、メンバーのキャリアパスを聞く機会を設けてくれました。ジョブチェンジのきっかけは人それぞれでしたが、「女性は新しい分野に挑戦することを恐れないのだと思う」とポジティブに語ってくれたのが印象に残っています。 また、チームリーダーのSavitaは多様なチームをまとめあげ、パフォーマンスを上げるために、チームワークをとても大切にしていると話していました。彼女曰く「チームワークは女性の得意な分野なのよ」とのことでした。RDOのメンバーとの出会いは、同業者としても女性としてもとても励まされる機会でした。
※写真は、RDOメンバー

(小林百合)

女性研究者支援ってなに? —インド2研究所を訪問してー

IISER Puneのnursery

「女性研究者はどんな支援を必要としているのだろうか?」その答えを探して、2016年1月25日〜2月4日の11日間、インド科学教育研究大学プネー校(IISER Pune)とインド国立生命科学研究センター(NCBS)を訪問しました。前者は基礎科学(数学・物理・化学・生物)に特化した教育研究大学、後者は基礎生物学の研究機関であり、どちらもインドでは生命科学系の最先端研究機関として知られています。

ある調査によれば、日本の女性研究者比率は14.6%、インドは14.3%*。どちらも国際比較ではかなり下位の数字です。しかし興味深いことに、両研究所ともfacultyの女性比率は日本の平均よりずっと高いのです(IISER Pune: 23%, NCBS: 33%)私はなにか強力な支援が行なわれていることを予想し、それを勉強してきたいと考えていました。今回の滞在ではホストのご厚意で、関連する多くの方々にお話を伺うことができたので、以下に簡単に報告します。

ハラスメント対応
インドでは、ハラスメント委員会 (Women’s Cell)とその上位対応組織であるInternal Complaint Committee(ICC)の設置が大学・研究所に義務付けられているそうです。ですが、両研究所ともICCが対応する深刻なケースは数年に1回で、特段深刻な状況ではないようでした。面談ではむしろ、「うちの研究所では、いかにハラスメントを感じずに研究ができるか」という話を聞くことが多く、特にIISERでは多くの委員が「学長、学部長の人柄のおかげで、うちはヒエラルキーのないオープンな雰囲気なのよ」と誇らしげに話されていたのが印象的でした。

学内保育所
両研究所ともりっぱな常設保育所を設置しています。インドの大学・研究所でもこのような施設を有している研究所は少ないそうです。もちろん研究所の負担は少なくないそうですが、「若い研究者をリクルートするため」に必要な設備であると認識されているようでした。また、「家族を支援することは、皆の幸せにつながることでしょ。」という言葉が印象的でした。

生活面
高学歴な人材がまだ貴重であることもあり、夫婦で同じ大学、町で職を得ることはそれほど難しくなく、ポスドクでもあまり任期を意識せずに働けているようです。家事・育児については、家政婦を雇う文化が根付いており、ポスドクの給料でも家政婦に家事を頼むことが可能であったり、出産後は親が子供の元に来て、孫の面倒を見るということが普通であったりと、非常に恵まれていると感じました。

まとめ
2研究所とも国を挙げて整備をすすめている研究所だけあり、保育所などは特例的に恵まれた環境でした。ですが、それだけでなく女性である・子供がいる、ということを気にやむことなく、研究に専念できる雰囲気が醸成されている点が素晴らしいと感じました。このような雰囲気も女性研究者比率の高さの一因であると感じました。

面談では多くの人から「で、あなたが聞きたい『女性研究者支援』ってなになの?」と逆に質問されました。私は日本の実情、支援制度などを話すと、「それはひどいわね。でも社会的なサポートが得られないのなら、研究所がサポートするべきだわ」と言われたことが心に残っています。今回の視察は、改めて女性研究者支援の有り様について自分なりに考える良いきっかけとなりました。

*FACT SHEET: Woman in Science, UNESCO Institute for Statistics, Nov. 2015, No. 34
※写真は、IISER Puneのnursery設立者ひとりのMayurikaと愛娘さん

(小林百合)

多目的保育室・女性研究者活動支援室を新設し、7月4日に開所式を行ないました。 

遺伝研ではワーク・ライフ・バランスの向上と、女性研究者のより一層の活躍を後押しするため、「多目的保育室・女性研究者活動支援室」を設置し、7月4日土曜日に開所式を行いました。

開所式では荒木弘之副所長の開会挨拶に続き、情報・システム研究機構の女性研究者活動支援室から幅崎麻紀子コーディネーターが来所し、北川源四郎機構長からの祝辞を頂きました。また海外出張中の国立遺伝研女性研究者活動支援室室長の仁木宏典に代り、同室員が挨拶を述べました。

本開所式には所員やその家族46名が参加し、同室員より今後の運用についての説明と運用についての意見交換が行われました。

また、多目的保育室のお披露目として外部講師「理科クラブ」による子供向けのプログラムを実施し、子供たちは親御さんといっしょに新しい多目的保育室を楽しみました。

本開所式には多くの方のご参加頂き、改めて同室への期待を感じました。所内の研究力強化、特に所内の女性研究者の支援に貢献できるよう、今後も多目的保育室の整備を進めてまいります。

(文責:小林百合)

遺伝研多目的保育室・女性研究者活動支援室

北川源四郎機構長からの祝辞を読み上げる、情報・システム研究機構 幅崎麻紀子コーディネーター。
遺伝研多目的保育室・女性研究者活動支援室

「理科クラブ」による子供向けのプログラムの様子1。
遺伝研多目的保育室・女性研究者活動支援室

「理科クラブ」による子供向けのプログラムの様子2。

遺伝研ホームページをリニューアル

国立遺伝学研究所ホームページリニューアル

遺伝研リサーチ・アドミニストレーター室は、発足時の最初のミッションとして遺伝研HPの刷新プロジェクトを立ち上げました。改訂作業に1年以上という期間を費やし、この度、新HPを公開することができました(http://www.nig.ac.jp/nig/ja/)。

旧HPは、コンテンツ数が数百ページに膨れ上がり、デザインや階層構造も非常に複雑なものとなっていました。「情報発信の土台を根本から作り直すことは、リサーチ・アドミニストレーター室の最初のミッションとして相応しい」2014年1月、私達はそのような考えを胸に秘め活動を開始しました。

HPのリニューアルは一筋縄ではいきません。膨大な情報量の中で、どれを強調し、どれを捨てるべきか決めなくてはなりません。そのためには、遺伝研の「研究・教育・事業」という3大ミッションについて正確に理解していなければなりません。関係者と齟齬がないようにすべく繊細な調整も必要です。また、HPコンセプトの実現には、プログラム、サーバー管理、デザイン等のエキスパートの参加も不可欠です。実行メンバーには私を含め4名が集まりました(遺伝研HPの運営に携わってきた遺伝研スタッフ、広報チームのデザイナー、サーバー管理のエキスパートでもあった研究者)。もちろん、この4名だけで作り上げたわけではありません。コンセプトの設計と実現の両面において他のメンバーはもちろんのこと、外部の協力者も必要でした。

告白すると公開日を幾度となく延期しました。問題にぶつかっては公開日の延期が余儀なくされ、その対策に多くの時間が費やされました。私達は、この先鋭的な新HPのデザインと機能を一日でも早く皆様にお披露目したいという一心で、慎重に、時には大胆に問題をクリアし、プロジェクトを進めてきました。

HPの刷新プロジェクトは、公開すれば完了というわけではありません。今後も細かな不具合の修正が必要です。しかし強調しなければならないことは、HPの刷新とは「研究力強化」一歩目にすぎないということです。情報発信の土台が完成した後は、「コンテンツ」を本質的に改善していかなければなりません。私達の挑戦はこれからも続いていきます。

「デザイン」と「使いやすさ」を改善するためにおこなわれた様々な試み

  • トップページから深部の情報へ直接アクセスできるように「プルダウンメニュー」を採用
  • 遺伝研の三大ミッション「研究、教育、事業(研究支援事業、モデル生物リソース)」を強調
  • 日本語サイトと英語サイトの情報量を同一にする
  • PC画面だけでなくスマートフォン画面にも対応
  • バナー広告を廃止することによって、シンプルなデザインを追求

(国立遺伝学研究所 来栖)

2015年度「遺伝研要覧」をリニューアル

国立遺伝学研究所要覧2015

遺伝研の情報発信の大きな手段は、ホームページだけではありません。「要覧」もその一つです。私達は、昨年の暮れから要覧のリニューアルに向けてプロジェクトを開始しました。これまでの要覧も素敵なデザインで作られており、内容全体についても高い評価を耳にしていました。しかしながら、私達が掛け替えのないと感じている「遺伝研の伝統・雰囲気」をもっと伝えられるのはないか、また、「三大ミッション」をより効率的に伝えられるのではないかとも感じていました。

今回のリニューアルで注力した点をご紹介します。
  • 遺伝研の三大ミッション「研究、教育、事業」の明確な切り分け
  • 遺伝研のヒストリーを強調
  • 研究所の環境を伝えるため、人物、建物、施設の写真をふんだんに使用

リニューアルされた本年度要覧をお楽しみ下さい。
リンク:http://www.nig.ac.jp/nig/pdf/about_nig/youran2015.pdf

(国立遺伝学研究所 来栖)

「地球の歴史は地層に、生物の歴史は染色体にかかれている」、遺伝研の歴史はどこに?

遺伝研年報第一号

遺伝研の要覧(年報)は、1949年に第一号が発刊されています。

この度、現在までの全ての要覧(年報)がPDF化され、遺伝研HPで公開することができました。記事タイトルの一文「地球の歴史は地層に、生物の歴史は染色体にかかれている」は、木原均 第二代所長のお言葉です。

この機会に是非ご覧頂き、遺伝研の歴史と遺伝学の進化をお楽しみください。

遺伝研年報第一号
リンク:http://www.nig.ac.jp/nig/ja/about-nig/yoran

(国立遺伝学研究所 来栖)

太田朋子名誉教授のクラフォード賞受賞にともなう広報活動

国立遺伝学研究所太田朋子名誉教授のクラフォード賞受賞三島記者会見
遺伝研の太田朋子名誉教授が2015年のクラフォード賞を受賞しました。正直なところ当初、どれほど大きな賞なのか私には想像もつきませんでした。しかし調べれば調べるほど、太田博士の提唱した理論の影響は大きく、遺伝研から生み出された大きな成果に大きな賞が授与されたのだということがわかりました。

クラフォード賞はノーベル賞を補完する位置づけの賞とされています。具体的にはノーベル賞と同じくスウェーデン王立科学アカデミーから、ノーベル賞が対象としない基礎的な研究に対して授与されます。副賞の金額はノーベル賞の4分の3にあたる600万スウェーデンクローナで、国内では3人目、大阪大学の岸本忠三元総長と平野俊夫総長に続く受賞となりました。

この受賞は日本の栄誉としてできるだけ広くご報告すべきと考えましたが、第一の関門は、ストックホルムでの授賞関連行事の様子をレポートする手段でした。ノーベル賞授賞式には同行者がつくのが通例だそうですが、今回はつかないことになりました。こういう場合どうすればよいのか、多くの方に相談させていただきました。最終的に日本学術振興会(JSPS)ストックホルム研究連絡センターの皆様が授賞関連行事に出席してすばらしい写真をたくさんお送りくださいました。その一部は遺伝研ウェブサイトでもご覧いただけます(こちらから)。授賞式直前にも賞本部と密に連絡調整してくださったJSPSの皆様に、この場をお借りして改めて深く感謝申し上げます。

第二の関門は記者の方々への報告手段でした。帰国後に賞状とメダルを前にした報告の場を設けたい、しかし太田博士の身体的負荷を考えると東京でなく三島で開催したい、という趣旨で、現担当者では初の試みとなる遺伝研での記者会見をひらくことになりました。果たして記者の方は来られるのか、一同とても心配しましたが、当日は天候にも恵まれ、7社の方々、うち3社の方は東京からお越しいただきました。翌日以降、6紙の新聞紙面と13件のウェブサイトに記事をご掲載いただき、なんとか国内に広くご報告ができたかと一同安堵しました。

多くの方々のご協力により、経験の少ない類の広報活動も無事におこなうことができましたが、自分に足りない点に直面する機会でもありました。また、太田博士が当時「じっくりと考える時間があった」というお話にも考えさせられるものがありました。これからも遺伝研やROISから優れた研究成果が生産され続け、その内容が色々な意味で社会に広がっていく助けとなるように、これからも尽力してまいります。

(伊東真知子)

文科省「情報ひろば」にて企画展示を開催

情報・システム研究機構文部科学省情報ひろば企画展示2015

文部科学省「情報ひろば」(千代田区霞が関・旧文部省庁舎3階)で、4月1日(水)から、”「研究力強化」を支援し、研究をつなぐ、学術データ&ネットワーク”をテーマにした企画展示を開始しました。

本展示は、情報・システム研究機構および直轄センター(新領域融合研究センター、ライフサイエンス統合データベースセンター)に加え、機構4つの研究所(国立極地研究所、国立情報学研究所、統計数理研究所、国立遺伝学研究所)が共同で取り組んだもの。ビッグデータ時代を背景とした学術データベースの活用や解析ツールの開発、オープンサイエンスへ向けた学術ネットワークのインフラやその運用など、大学共同利用機関として取り組む学術データ&ネットワークの具体例を体験的に理解できる展示としました。

白を基調としたブースには、機構+4研究所のポスター展示や動画による解説に加え、タッチパネル操作で、日本地図上にネットワークの動画が映写されるプロジェクターを設置。また当機構が目指す「データ中心科学」を象徴した地球儀や、4研究所のジオラマ等のコラボレーション的な立体展示も行いました。「研究力強化」を支える共同利用・共同研究の取り組みを、ぜひご体験ください。

場所:文部科学省旧庁舎「情報ひろば」 3F 企画展示室
(東京都千代田区霞が関3-2-2 旧文部省庁舎)
交通:銀座線「虎ノ門」駅11 番出口直結、千代田線・丸ノ内線・日比谷線
「霞ヶ関」駅A13 番出口徒歩5分
※入場無料、開館は10時〜18時。入館は閉館の30分前まで。土日・祝日休館
※平成27年7月末まで展示予定

■情報ひろばへのアクセス
http://www.mext.go.jp/joho-hiroba/access/

■文部科学省 | 情報ひろば 企画展示室
http://www.mext.go.jp/joho-hiroba/sp/

■文部科学省 報道発表 | 文部科学省における大学・研究機関等との共同企画広報の実施〜文部科学省ミュージアム「情報ひろば」企画展示等【三重大学、東海大学、情報・システム研究機構】〜
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/03/1356142.htm

(池谷瑠絵)

留学生に届け!

遺伝研_世界に向けた情報発信2015

遺伝研で学ぶ大学院生のおよそ3割は留学生です。研究は国境や母語とは関係なく進められるものであり、世界中の研究者とのコミュニケーションが重要なので、さまざまな国から留学生が集う環境は、研究者の卵である大学院生にとって大切なものであり、ひいては研究力強化につながるものです。

遺伝研・総研大遺伝学専攻では、一人の学生の指導を複数の教員が担当する制度や、論理的で効果的なプレゼンテーションを英語でおこなうための講義を設けたほか、すべての講義に加えて事務連絡も英語でおこなうなど、国際的にみても競争力のある教育制度を整備してきました。特に海外からの学生に対しては、10週間の研究体験プログラムや複数の奨学金制度が設けられています。しかし世界に向けた情報発信は簡単ではなく、応募学生の出身国や大学をより広げることが課題でした。

そこで、遺伝研で受けられる教育についてより多くの国の学生さんに知ってもらうために、既存のウェブページに加えて新しいポスターとリーフレットを作成し、約30か国・120か所の大学等にお送りしました。1月下旬に締め切られた研究体験プログラムには、昨年の2倍近い応募がありました。現状分析と改善を進め、より多くの多様な学生さんに遺伝研という研究環境に目を向けていただけるよう目指します。

(伊東真知子@国立遺伝学研究所)

研究機器のデモンストレーション

遺伝研_顕微鏡デモンストレーション会

生物学では、実際に生き物を「観る」ことが重要な研究手法の一つとなっています。生物学者は「観る」ために「顕微鏡」を利用します。この顕微鏡の性能が日進月歩であることは、2014年のノーベル賞がごく近年の顕微鏡開発におくられたことから垣間見ることができます。

最先端の顕微鏡システムが遺伝研の研究にどのような発展を生み出すのかを皆様に実感してもらうために、2014年12月16〜19日、リサーチ・アドミニストレーター室では最新機器のデモンストレーションをメーカーの協力のもとに企画しました。顕微鏡には、従来の光学顕微鏡の解像限界を超えた「超解像顕微鏡」と、シート光を利用した「SPIM」を選び、「見えなかったものが見える」「多くの時間を費やしていた画像取得が瞬時に成せる」というメリットを体験して頂きました。

今後も、遺伝研リサーチ・アドミニストレーター室では、研究所の共通機器の利用をサポートするために、様々な活動を予定しています。

※「見せてもらおうか、新型顕微鏡の性能とやらを」──写真はデモンストレーションからのひとコマ。

(来栖 光彦@国立遺伝学研究所)