ROIS/I-URIC若手研究者クロストーク2016に参加しました

今回、初めて参加する若手研究者クロストークで「ワールドカフェ」という企画にホストの立場で加わりました。少人数(5-6人)のグループで行われる自由な議論を英語でオーガナイズするのは初めての経験で、クロストークにも初参加ということもあり、少し緊張して臨みました。 ワールドカフェは1セッション25分で3セッション、2セッション目はホスト以外のメンバーは全員入れ替えとなって、最初のセッションで得たアイデアをもとに別のグループを作ってさらに議論を発展させることを目指します。3セッション目は最初のメンバーが元のテーブルに戻り、彼らが2セッション目で別のグループで得てきたアイデアを加える形で、議論の続きを話し合います。結論を無理に出そうとせず、他人との意見交換を通して自由な発想を広げていくことが目標でした。

英語で議論をするグループ(English islands)には、日本人含め様々な国籍の大学院生が集まりました。そこで選んだテーマは「科学におけるダイバーシティについて」。議論開始直後は、ダイバーシティは果たして科学に寄与するものかどうかも分からない、という疑問も出されましたが、まずそれぞれが思う長所と短所をそれぞれ挙げて頂きながら、各々の意見を出して頂きました。

第2セッション、ホストの私は同じテーブルで同じテーマを引き継ぐ一方、他のテーブルで別のトピックを話し合ってきたメンバーに、ダイバーシティとは何か、それぞれの思いを語ってもらいました。音声情報処理を専攻している大学院学生からの意見は、ダイバーシティを脳の機能から考える上でとても興味深いもので、異なる「訛り」を持つ話者2人が出会ったときにどんな現象が起こるかという研究結果に基づくものでした。この第2セッションでは、多様性は科学にとって良い事であると考える人は多いが、人間は感情レベルでは均質さを求める傾向があること、研究室のような単位の中では研究テーマの多様性を追求するよりひとつの大きな方向性を打ち出すことでのメリットが得られるので、研究室間の共同研究で多様性を得ていく方が良いのではないか等、より議論を深めることが出来ました。最初のセッションから持ち寄られた、融合研究についての議論からのアイデアが、多様性についての議論に面白い方向性を与えたと思います。

3セッション目は最初のメンバーが元のテーブルに戻り、彼らが第2セッションで別のグループで得てきたアイデアを出した後、当初の議論の続きを話し合いました。あるメンバーの「ダイバーシティは、科学にとって良いものであると多くの人は言うし、それには同意する。しかし、まず言葉の壁を乗り越えなければならない」との意見に、他のメンバーからも同意する意見が出されました。最終的に私達のグループでは、「多様性を持つメンバーが意見を出しあって議論することで、様々な可能性を検討した上でより良い結論が得られるはずで、これは科学の進歩に寄与するのではないか」という結論に至りました。

ワールドカフェの終わりに数分ずつ、各テーブルのホスト役から議論のまとめが話されました。意外だったのは、別のテーマで議論をしていた他のテーブルからも「ダイバーシティ」という言葉がしばしば聞かれたことです。それを知って、小さな種が蒔かれてあちこちで発芽したような、不思議な喜びを感じました。ワールドカフェの特徴のひとつである、クロスポリネーション(他家受粉)の手法が議論を活性化していることを実感しました。終了後、同じテーブルでの議論に加わらなかった方からも、ダイバーシティについて議論してみたかった、という意見を頂くなど、ワールドカフェの議論の波及効果は予想以上に大きいものだと感じました。

今回、海外から来て日本の研究現場でさまざまな思いをしている留学生の方々から、ダイバーシティとは本当に科学を推進しうるものなのか?というテーマについて、生の声を聴けたことは大きな収穫でした。おそらく二度と同じメンバーで議論をすることはない、一期一会の機会であることからも、ワールドカフェ参加は貴重な体験であったと思います。

(English version is here.)

(女性研究者活動支援室コーディネーター 中村淑子)

ROIS/I-URIC Crosstalk 2016

英語だけで議論する「英語島」は3つ

ROIS/I-URIC Crosstalk 2016

画面中央がホスト役を務める私です
ROIS/I-URIC Crosstalk 2016

発言中は、マスコット「情報犬」を持って。

ROIS/I-URIC Crosstalk 2016

会場全景