NII 産官学連携塾(第3回)を開催しました

国立情報学研究所_第2回NII産官学連携塾

7月22日(水)に第三回NII産官学連携塾を開催しました。

NII産官学連携塾は、情報学における最先端の研究動向を取り上げ、NIIの研究者と企業・自治体等の方々が出会い、意見交換できる場を目指す産業界向けの公開講座です。第三回は「ビッグデータを始める前におさえておくこと」をテーマに、講義とグループワークショップの二部構成で行われました。

前半はデータマイニングやアルゴリズム研究が専門の宇野毅明教授(NII情報プリンシプル研究系)が、研究者の観点からビッグデータの現状とこれを扱う上のポイントを解説しました。(写真)

現在のビジネスでは「ビッグデータを語るとき目的ではなくインフラの面ばかり論じられる」と指摘。ビッグデータの特徴として一つひとつの情報からは意味が分かり難い点を挙げ、インフラが発達して膨大な情報を入手しても何に利用してよいのか分からないパターンが多いと言います。この問題に対する解決策として有効なことの一つは「現場力による目的=価値の創造」であり、「現場の人」の感覚を活かすこと。データ解析技術を持つ者と現場担当者との共同作業がこれからのビジネスチャンスを見出すためにはきわめて重要であると述べました。

もう一つの価値とデータを結びつける重要なカギは、データを「粒度は荒くても意味の強いデータに変換する」こと。機械学習(ディープラーニング)による網羅的な手法では「分析結果の意味や理由を人間は理解できない場合が多い」とし、機械学習による100%精度の分析よりもデータ抽象化アルゴリズムを用いた60%くらいの精度の分析で強いデータを作り出せる方が効果的であると述べました。「データを収集した段階のストレートな価値ではなく、別の価値へつなげる事例が期待されている」と宇野教授。一例として大量の航空写真から農作物の品質評価を導き出した案件も紹介しました。

ビッグデータは歴史が浅いことから利活用に有効な手段が確立していない、これを克服するためには実際にデータを扱う者同士の意見交換が有効であるとして、後半は参加者を二つのグループに分け、各自が実業務において抱えるビッグデータの状況・課題を共有し協議する時間を設けました。このグループワークショップには若手研究者の坂本一憲助教と秋葉拓哉助教も加わり、専門的意見を発して討議を盛り上げました。

データの扱いに難航した際、大学やNIIなどの研究機関で知識を持つ研究者に相談するのも近道だという宇野教授。研究者と円滑に話を進める秘訣(!)も紹介し、今回の産官学連携塾のような交流の場を活かして、恐れずビッグデータに向かってほしいと述べました。

次回の産官学連携塾は10月13日(火)に、プライバシー侵害への対策を研究する越前功教授(コンテンツ科学研究系)によるプログラムで開催の予定です。

参加方法および詳細は後日NII公式ウェブサイトに公開予定です。
国立情報学研究所ウェブサイト | NII産官学連携塾
http://www.nii.ac.jp/research/iga/juku/

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(NII研究戦略室)