太田朋子名誉教授のクラフォード賞受賞にともなう広報活動

国立遺伝学研究所太田朋子名誉教授のクラフォード賞受賞三島記者会見
遺伝研の太田朋子名誉教授が2015年のクラフォード賞を受賞しました。正直なところ当初、どれほど大きな賞なのか私には想像もつきませんでした。しかし調べれば調べるほど、太田博士の提唱した理論の影響は大きく、遺伝研から生み出された大きな成果に大きな賞が授与されたのだということがわかりました。

クラフォード賞はノーベル賞を補完する位置づけの賞とされています。具体的にはノーベル賞と同じくスウェーデン王立科学アカデミーから、ノーベル賞が対象としない基礎的な研究に対して授与されます。副賞の金額はノーベル賞の4分の3にあたる600万スウェーデンクローナで、国内では3人目、大阪大学の岸本忠三元総長と平野俊夫総長に続く受賞となりました。

この受賞は日本の栄誉としてできるだけ広くご報告すべきと考えましたが、第一の関門は、ストックホルムでの授賞関連行事の様子をレポートする手段でした。ノーベル賞授賞式には同行者がつくのが通例だそうですが、今回はつかないことになりました。こういう場合どうすればよいのか、多くの方に相談させていただきました。最終的に日本学術振興会(JSPS)ストックホルム研究連絡センターの皆様が授賞関連行事に出席してすばらしい写真をたくさんお送りくださいました。その一部は遺伝研ウェブサイトでもご覧いただけます(こちらから)。授賞式直前にも賞本部と密に連絡調整してくださったJSPSの皆様に、この場をお借りして改めて深く感謝申し上げます。

第二の関門は記者の方々への報告手段でした。帰国後に賞状とメダルを前にした報告の場を設けたい、しかし太田博士の身体的負荷を考えると東京でなく三島で開催したい、という趣旨で、現担当者では初の試みとなる遺伝研での記者会見をひらくことになりました。果たして記者の方は来られるのか、一同とても心配しましたが、当日は天候にも恵まれ、7社の方々、うち3社の方は東京からお越しいただきました。翌日以降、6紙の新聞紙面と13件のウェブサイトに記事をご掲載いただき、なんとか国内に広くご報告ができたかと一同安堵しました。

多くの方々のご協力により、経験の少ない類の広報活動も無事におこなうことができましたが、自分に足りない点に直面する機会でもありました。また、太田博士が当時「じっくりと考える時間があった」というお話にも考えさせられるものがありました。これからも遺伝研やROISから優れた研究成果が生産され続け、その内容が色々な意味で社会に広がっていく助けとなるように、これからも尽力してまいります。

(伊東真知子)