データ中心科学に関する海外機関との意見交換

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2014年7月17~18日に北米西海岸の2大学を訪問し、データ中心科学について意見交換をしてきました。訪問したのはUniversity of Washington(ワシントン州シアトル市)とUniversity of California, Berkeley(カリフォルニア州バークレイ市)で、いずれもデータ中心科学の研究を推進していることで世界的によく知られています。

UW、UCBおよびUniversity of New Yorkの3大学は、2013年にムーア財団、スローン財団からデータ中心科学を推進する機関(Data Science Environments)として選ばれ、$38.5M/5年のファンディングを受けて研究体制の整備とプロジェクトを進めています。今回の訪問でその実態を聞くとともに、キーパーソンと知り合いになることができました。

UWのこの分野の取組はかなり早く、すでに2005年ころから学内で議論を始めていたとのことです。2008年にeScience研究所を設立して学内の活動を本格化させ、さらに今回の財団からのファンディングをもとに活動を活発化させています。この秋にはData Science Studioという、関係者が集まって作業のできる環境を設立するとのことでした。UWでは、π型研究者の「π」は2本の足がドメインの研究と情報・統計数理の研究を指すと解釈しているそうです。

UCBでは今回の財団からのファンディングに応募するため、研究担当副学長を中心とするコアチームを結成、その中には2011年ノーベル物理学賞受賞者のSaul Perlmutterも入っていました。現在Berkeley Institute for Data Science (BIDS)という組織を立ち上げ中で、約40人が勤務できるスペースを持つオフィスがこの夏に正式オープンするそうです。BIDSに勤務する研究者の多くは本籍との兼務で、給与も半々とのことでした。

いずれの大学でも、いわゆるドメイン研究者と情報・統計数理の研究者とが緊密に協力して研究を進めている様子がわかりました。背景には、どの科学分野もdata richになりつつあり、新しい研究を行うにはデータ中心科学を進めることが必要との認識が共通になっていることがあります。ムーア財団、スローン財団にもこのような認識があり、今回のファンディングに結びついていると思われます。もちろん日本では米国ほど強力な私的財団がないのでファンディングに関しては同じ構図があてはめられるわけではありません。しかし当機構が推進しているデータ中心科学リサーチコモンズ事業は、世界的に重要と認識されている方向性に沿ったものですので、今後両大学をはじめ関係する海外研究機関との情報交換、連携を進めていきたいと思っています。

(丹羽邦彦)