サイエンスリポート | ヒトゲノムの読み取り技術で医療が変わる?

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広く大学・研究機関等の研究をご紹介する『サイエンスリポートWebSite 』にて、新シリーズ「僕らはゲノムでできている」を開始しました。その第2回記事「ヒトゲノムの読み取り技術で医療が変わる?」を公開しました。ぜひご覧ください。

生物をその生物たらしめている塩基配列を、全遺伝情報すなわちゲノムという。現在、このゲノム情報の読み取りと解析に広く使われているのが「次世代シーケンサー」と呼ばれる装置だ。人類最初のヒトゲノム解読では莫大な時間と予算が投じられたが、その後シーケンサーは目覚ましい発達を遂げ、より速く、より正確に、より安くゲノムを読み取り、解析できるようになった。今や膨大な数のヒトゲノムが解読され、データベース等に登録され、そのようなビッグデータを駆使するゲノム科学が、人類の医療、健康、環境、開発、サービスなどに、いよいよ具体的に応用される段階に入っている。シーケンサーが読み取り、解析する情報は、医療をはじめとする応用分野を、これからどのように変えていくのだろうか。

またコラムでは、大学共同利用機関である国立遺伝学研究所(静岡県三島市)を中核機関として、ゲノム解析を支援する「先進ゲノム支援」の取り組みを紹介。文部科学省科学研究費助成事業の新学術領域研究『学術研究支援基盤形成』先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム「先進ゲノム支援」は、「科研費」に採択された研究を対象に、最先端のゲノム解析及び情報解析技術を提供する研究事業。

■Science Report008「僕らはゲノムでできている」
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答える人:鈴木 穣(東京大学)
東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授。25年以上にわたりトランスクリプトームに注目した研究を展開。ヒトゲノムの変異がどのようにがん、免疫、神経疾患等の表現型を示すのか、システムレベルでの解明に取り組む。

(池谷瑠絵)


科学英語カリキュラム「遺伝研メソッド」の人文社会研究での活用

遺伝研メソッド

「遺伝研メソッド」は遺伝研の研究者が開発した研究プレゼンテーションの方法論です。科学的思考力を強化するとともにグローバルに活躍する研究者になるための発表能力が身につくプログラムとして総研大の科学英語教育に取り入れられ、自然科学系の4研究科、9専攻で「遺伝研メソッド」を活用した科学英語授業が実施されています。

これまでの授業実施経験から自然科学系の研究者には有益なプレゼンテーション法であることは認識されているものの、研究発表の文化が異なる人文社会系の研究者のニーヅに合うかどうかは明らかではありませんでした。今回、筑波大学の招きに応じ、メソッド開発者である平田たつみ教授(脳機能研究部門)と広海健リサーチ・アドミニストレーター室長が「人文社会系研究発信週間」に参加しました。平田によるメソッドのコンセプトの説明、広海による講習会、さらには筑波大学の教員とのパネルディスカッションなどを通じて「人社系研究と遺伝研メソッドをどう接合させるか」を議論しました。その結果、このメソッドは人文社会研究にも活用可能であるという共通認識が得られました。今後は人文社会系研究者とも協力して、「人文社会版」の教材開発など、「遺伝研メソッド」の応用形態を探っていきます。

異なる学問的背景を持つ研究者間のコミュニケーションは、新たな研究パラダイムの構築や新分野の開拓の基本です。「遺伝研メソッド」のコンセプトの普及や「人文社会版」の開発・活用は、自然科学と人文社会科学の対話を深め、新たな共同研究や融合研究にもつながると期待しています。

(遺伝研リサーチ・アドミニストレーター室)

写真・ポスター提供:筑波大学URA研究戦略推進室

遺伝研メソッド

I-URIC連携企画 広報力UPセミナー開催

I-URIC連携企画 広報力UPセミナー開催

学術広報においては、日本の研究成果や研究所・大学等の取り組みを”効果的に”海外へ発信するノウハウが、ますます求められている。そこで「本当に効果がある英語発信のノウハウ —英語コンテンツ記事への取り組み事例からー」をテーマに、米国で地方紙の記者として活躍されてきた講演者に、米国におけるコミュニケーションの実態をご紹介いただき、学術広報の目標を考えるセミナーを企画・開催した。他機構3名を含む16名にご参加をいただき、講演後の質疑応答も含めて活発な催しとなった。

□開催概要
主催:I-URIC連携 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
日時:2017年6月23日(金)14:00〜16:30
場所:情報・システム研究機構URAステーション会議室(東京都港区)

講演者の佐藤広子氏は、慶應義塾大学英米文学科卒、米国ノースイースタン大にてジャーナリズム修士取得後、アメリカ地方新聞ジャーナリストとして17年(1999-2016)のキャリアを持つベテラン記者。現在米国ボストンを拠点として、日本向け海外広報サービスを提供するTHE PITCH ROOM, LLC代表を務める。

冒頭は、広報理事 樋口知之 統計数理研究所所長より、現在の学術における海外発信の課題、この課題への取り組み方のヒントに関わるご挨拶をいただいた後、当機構の海外発信の取り組みである「サイエンスリポートWebSite 英語版」について、担当より紹介と説明を行った。

講演では、佐藤氏の実経験に基づいて、アメリカにおける地方紙の現状、SNSをはじめとするメディア環境の変化と旧メディアへの影響、記者へのアプローチのしかた、ライティングのポイントなどについてお話しいただいた。前半のメディアの概況・変化の部分では日本語、後半の事例紹介等は英語で講演いただき、日本語による明確な全体像把握と併せて、具体的な事例では米国と日本との違いをリアルに感じていただける構成とした。

講演後の質疑応答では、ライティングの注意点等についての具体的なものが多く寄せられた。アンケートでも、「具体的にaudienceにreachするか」「いかに記者が読者の心をつかむか」といった課題への示唆や、「伝統的なスキル(取材・ライティング)と新しいスキル(SNS、時代への対応)の両方が必要」であることを認識したなどの回答があった。

(池谷瑠絵)