フィンランドCSCとのミニワークショップを開催

フィンランドCSCとのミニワークショップ

2016年(平成28年)5月19日、本部URAが主体となって、フィンランドのCSC (IT-Center for Science)のCEOであるDr. Kimmo Koskiを招き、ミニワークショップを開催しました。Koski氏は昨年2月に当機構のイベント「データ中心科学国際ワークショップ」を開催した際に講演者として招聘しており、その際CSCと当機構との間でMoU (Memorandum of Understanding)を結んで連携を進めていくことで合意しています。今回のミニワークショップは、Koski氏が別件で来日した機会を利用して、MoUのフォローアップの一環として開催したものです。

当機構からは、戦略企画本部やURAステーションのメンバーが参加しました。最近の機構の活動状況、とくに新設のデータサイエンス共同利用基盤施設の紹介を行い、Koski氏からはCSC, RDA*, EUDAT**の最近の状況について紹介してもらい、意見交換を行いました。

CSCは、自らは研究せず、フィンランドの大学、研究機関にITサービス(スパコン、ネットワーク、データセンターなど)を提供する非営利企業です。予算(約36M€, 44億円)のうち50%は政府(Ministry of Education and Culture)から出されています。従業員285名のうち、ほぼ1/4が博士号を持っているとのことです。

最近の活動のトピックスとして、次期スパコン調達のための検討、フィンランド政府の最近の施策への関与などについての説明がありました。オープンデータ、オープンサイエンスが国際的な動向になっており、フィンランド政府も以下のような施策をとっているとのことです。

・Open Science and Research Initiative 2014-2017
フィンランドにおけるオープンサイエンス推進のため、ガイドラインの設定、トレーニングや教育、研究者へのサポートなどを実施。
・National Digital Library Project
デジタルデータの保存、国民への開放、ユーザーインタフェースの統一などを実施。

Koski氏はEUDATのCoordinatorも務めているので、EUDATやそれと関連するRDAの最近の状況も紹介してくれました。EUDATは当初は2011~2014年の計画でしたが、引き続きEUDAT2020として期間が延長され、現在は33の構成メンバー、20M€の規模で推進されているとのことです。RDAについては3月に東京で第7回総会が開催されたばかりなので、それほど新しいニュースはありませんが、第8回総会は今年9月に米国のデンバーで、第9回総会は来年4月にスペインのバルセロナで開催予定とのことです。

CSCはフィンランドの大学、研究機関にサービスを提供する機関であり、大学共同利用機関法人である当機構とも類似するところがあるので、いくつかの共通の問題について意見交換を行いました。また今後さらなる連携の可能性を探ることで一致しました。

*RDA: Research Data Alliance 研究データの共有を加速し、技術・プラクティス等の推進をめざす国際的なコンソーシアム。
**EUDAT: European Data Infrastructure 欧州の研究者にデータサービス基盤を提供するプロジェクト。研究用データのストア、シェア、コピー、処理などを容易かつセキュアに実行できるサービスを提供。

(丹羽邦彦)

リサーチ・アドミニストレーター新任研修の講師を務めました

2016(平成28)年5月19日(木)、リサーチ・アドミニストレーター協議会(RA協議会)スキルプログラム専門委員会が主催する「リサーチ・アドミニストレーター新任研修」に講師として参加しました。この研修は、主に大学や公的研究機関等でリサーチ・アドミニストレーション業務に従事して間もない方から1年程度の経験者を対象としており、今回は約20名の方が受講されました。内容としては1時間程度の講演が2つあり、その後5人程度のグループに分かれてケースを用いた演習を行いました。

金沢工業大学 高橋真木子先生によるご講演(URA概要(業務全体の知識))に続いて、私は「若手URAによる自身の活動概要」と題し、URAとして着任してから約2年間に担当した業務の内容や、その業務を行う上で周囲の支援や助言を必要としたこと、経験から抽出した課題などについてお話ししました。紹介する事例を絞ってなるべく具体的に話すことで、今回の研修の対象者である業務初心者の方にもイメージが沸きやすい講演内容となるように努めました。

RA協議会主催の教育研修プログラムには以前、受講者側として参加しましたが(2015年9月14日の活動報告記事参照)、今回は講師として発表する機会をいただき、前回とは違った視点で自身の活動を棚卸しする良い機会となりました。また、各機関のフレッシュなURAの熱意が非常に刺激的で心地よく、今後ますますURAの活動が全国的に活発化していくのだと強く感じた研修会でした。

(横尾 成子)

リサーチ・アドミニストレーター新任研修

リサーチ・アドミニストレーター新任研修に講師として参加しました
リサーチ・アドミニストレーター新任研修

リサーチ・アドミニストレーター新任研修、全体の様子

インド Research Development Office訪問

RDOメンバー

インド出張報告第2弾として、NCBSのResearch Development Office(RDO)を紹介したいと思います。彼らはインドにおけるURAの先駆け的存在です。

現在チームは総勢7名。学位を持つ元研究者もいれば、社会貢献活動グループで働いていたというバックグラウウドをもつ人もいる多様なグループです。チームはFunding and Award ManagementとCommunications Officeの2グループから構成されています。前者はプレアワード、ポストアワードに加え、funding agencyへのプレゼンや報告も重要な業務だそうです。NCBSではfunding agencyからの研究費獲得が、研究所の安定的な経営に重要であると位置付けられており、財団関係者への接待やツアーの企画など業務は多岐にわたるのだそうです。

Communications Officeは要覧、ホームページ、news letter作成に加え、funding agencyや国への報告書作成などにも関わります。書類によっては英語だけでなく、ヒンディー語、南インド地方の共有語の3ヶ国語への翻訳を行ったり、デザインも重要だそうです。

インドと日本では事情が違いますが、研究支援業務のたいへんさや楽しさは同じなのだなと感じました。

私が女性研究者のキャリアに興味があると話すと、チームミーティングに招いてくれ、メンバーのキャリアパスを聞く機会を設けてくれました。ジョブチェンジのきっかけは人それぞれでしたが、「女性は新しい分野に挑戦することを恐れないのだと思う」とポジティブに語ってくれたのが印象に残っています。 また、チームリーダーのSavitaは多様なチームをまとめあげ、パフォーマンスを上げるために、チームワークをとても大切にしていると話していました。彼女曰く「チームワークは女性の得意な分野なのよ」とのことでした。RDOのメンバーとの出会いは、同業者としても女性としてもとても励まされる機会でした。
※写真は、RDOメンバー

(小林百合)

女性研究者支援ってなに? —インド2研究所を訪問してー

IISER Puneのnursery

「女性研究者はどんな支援を必要としているのだろうか?」その答えを探して、2016年1月25日〜2月4日の11日間、インド科学教育研究大学プネー校(IISER Pune)とインド国立生命科学研究センター(NCBS)を訪問しました。前者は基礎科学(数学・物理・化学・生物)に特化した教育研究大学、後者は基礎生物学の研究機関であり、どちらもインドでは生命科学系の最先端研究機関として知られています。

ある調査によれば、日本の女性研究者比率は14.6%、インドは14.3%*。どちらも国際比較ではかなり下位の数字です。しかし興味深いことに、両研究所ともfacultyの女性比率は日本の平均よりずっと高いのです(IISER Pune: 23%, NCBS: 33%)私はなにか強力な支援が行なわれていることを予想し、それを勉強してきたいと考えていました。今回の滞在ではホストのご厚意で、関連する多くの方々にお話を伺うことができたので、以下に簡単に報告します。

ハラスメント対応
インドでは、ハラスメント委員会 (Women’s Cell)とその上位対応組織であるInternal Complaint Committee(ICC)の設置が大学・研究所に義務付けられているそうです。ですが、両研究所ともICCが対応する深刻なケースは数年に1回で、特段深刻な状況ではないようでした。面談ではむしろ、「うちの研究所では、いかにハラスメントを感じずに研究ができるか」という話を聞くことが多く、特にIISERでは多くの委員が「学長、学部長の人柄のおかげで、うちはヒエラルキーのないオープンな雰囲気なのよ」と誇らしげに話されていたのが印象的でした。

学内保育所
両研究所ともりっぱな常設保育所を設置しています。インドの大学・研究所でもこのような施設を有している研究所は少ないそうです。もちろん研究所の負担は少なくないそうですが、「若い研究者をリクルートするため」に必要な設備であると認識されているようでした。また、「家族を支援することは、皆の幸せにつながることでしょ。」という言葉が印象的でした。

生活面
高学歴な人材がまだ貴重であることもあり、夫婦で同じ大学、町で職を得ることはそれほど難しくなく、ポスドクでもあまり任期を意識せずに働けているようです。家事・育児については、家政婦を雇う文化が根付いており、ポスドクの給料でも家政婦に家事を頼むことが可能であったり、出産後は親が子供の元に来て、孫の面倒を見るということが普通であったりと、非常に恵まれていると感じました。

まとめ
2研究所とも国を挙げて整備をすすめている研究所だけあり、保育所などは特例的に恵まれた環境でした。ですが、それだけでなく女性である・子供がいる、ということを気にやむことなく、研究に専念できる雰囲気が醸成されている点が素晴らしいと感じました。このような雰囲気も女性研究者比率の高さの一因であると感じました。

面談では多くの人から「で、あなたが聞きたい『女性研究者支援』ってなになの?」と逆に質問されました。私は日本の実情、支援制度などを話すと、「それはひどいわね。でも社会的なサポートが得られないのなら、研究所がサポートするべきだわ」と言われたことが心に残っています。今回の視察は、改めて女性研究者支援の有り様について自分なりに考える良いきっかけとなりました。

*FACT SHEET: Woman in Science, UNESCO Institute for Statistics, Nov. 2015, No. 34
※写真は、IISER Puneのnursery設立者ひとりのMayurikaと愛娘さん

(小林百合)

H28年度第1回URA合同ミーティング開催

2016(平成28)年4月25日(月)、国立極地研究所、国立情報学研究所、統計数理研究所、国立遺伝学研究所の4研究所の分野URAおよび情報・システム研究機構所属の本部URA合同で、本年度第1回目のURA合同ミーティング@遺伝研を開催しました。

今回のプログラムは、まず新たに着任された方々のご紹介からスタート。引き続き今年度の機構本部の体制等が紹介されました。各研究所から、研究大学強化促進事業の目標に沿った実績報告が行われ、今後の活動に向けた取り組みや、その成果のとりまとめ方法などについて議論が交わされました。議論が活況となってやや時間が不足する展開となり、慌ただしくも盛況のうちに終会しました。

なお遺伝研では、4月に恒例の一般公開(オープンハウス)を終えたばかり。敷地内の桜にはすでに花の姿はなく、新緑が枝を伸ばしていました。

(URAS)

情報・システム研究機構URA合同ミーティング201604

司会に立つ、遺伝研来栖URA
情報・システム研究機構URA合同ミーティング201604

研究大学強化促進事業実績報告を行うDBCLSの箕輪特任准教授